鹿児島大学眼科で後期研修をお考えの先生方へ

坂本泰二 写真教授 坂本 泰二

 鹿児島大学医学部眼科学教室は、鹿児島県唯一の大学医学部眼科学教室として、南九州の眼科診療・教育・研究に貢献してきました。現在でも、それらの役割を担っていることには変わりありませんが、私はとりわけ患者様の診療に直接結びつく医療を大切にしたいと思っています。そのため、医局の先生方の目標設定はあくまで臨床医学に結びつくようにしております。具体的には以下のような考えで後期研修を考えています。

最短で専門医資格の取得が可能となるカリキュラム

 専門医試験の受験資格には、一定数の手術経験と、学会や論文発表が義務付けられています。論文発表や、学会発表は大学に所属している間の方が有利ですが、手術経験を積むには、出張病院での経験が不可欠です。それぞれの希望・事情に沿って、適当な時期に最も効果的な経験を積めるように取り計らいます。

経済的安定の保証

 勉強や仕事にじっくりと打ち込むには、経済的安定が不可欠です。医局が中心になり、それぞれの希望にあわせて収入の道を確保します。

多種多様な疾患の経験

 鹿児島大学病院は、南九州における最終病院ですので、網膜疾患をはじめとして、腫瘍、角膜疾患などあらゆる種類の患者様が受診されています。研修の早い時期に、それらの疾患に触れてゆくことは大切なことです。そこで、各種専門外来を担当できるようにします。また、網膜硝子体診察・手術装置、角膜移植装置、 PDT治療装置など最新の医療設備が整っています。2009年の硝子体手術数は、500件を超え、南九州では最も多い医療機関のひとつでした。

先進的医療の経験

 大学病院では、一般病院では経験できない高度な医療への参加が可能です。鹿児島大学眼科では、一部企業と共同して新しい治療法を開発しています。新しい治療法の開発には、若い人の斬新なアイデアが不可欠ですので、積極的に参加していただけます。

留学や研究の奨励

 臨床経験を積んで行きますと、現在の医療技術の限界が判ってきます。そのため、多くの医師が、より効果的かつ新しい治療法の研究開発を行っています。皆さんも、経験を積めば同じように感じるようになるでしょうが、それにはひとつの教室にいるだけでは限界があります。そこで、本人の希望により、国内、国外留学、基礎研究施設への留学を積極的に奨励します。

最後に

 わが国では、一部地域の病院では患者様の医療に対する不信・誤解が強く、トラブルを恐れるあまり、若手医師の研修が十分にできないことも多いと聞きます。しかし、誤解をおそれずにいえば一般的に鹿児島の人々は温厚であり、医師と患者様の関係も良好です。皆さんが、患者様のために一生懸命努力すれば、それ以上の感謝・評価が患者様から受けられます。特に、眼科は治療により視力が劇的に改善することが多く、患者様と喜びを分かち合うことが可能です。皆さんも、医師という職業を選択してよかったという感激を十分に感じることでしょう。

鹿児島大学眼科の後期研修に一人でも多くの方が参加されることを期待しています。