14 Apr, 2010
膵胆管系腫瘍における早期マーカーとなり得る、MUC5ACの遺伝子発現機構の解明に成功
このたび、当研究室の山田宗茂(Norishige Yamada)らは、膵胆管系腫瘍の早期マーカーとしても知られるMUC5ACの遺伝子発現が、エピジェネティクスにより制御を受けていることを明らかにした。
MUC5ACは、正常の膵胆管系上皮には全く発現しないが、膵管上皮内腫瘍性病変 (PanIN) や膵管内乳頭粘液性腫瘍 (IPMN) のような前癌病変も含めて全ての腫瘍性病変に陽性であり、「早期マーカー」としての可能性が期待されている。MUC5AC遺伝子の発現機構の解析についてはいくつかの報告があるが、その詳細は明らかではなかった。中でもエピジェネティクスな観点からの研究については、他の研究グループが、MUC5ACプロモーター領域の転写開始付近を対象に研究を行っていたが、発現に関与する積極的な結果は得られていなかった。
しかし、MUC5AC陰性の細胞株に対して、DNAメチル化阻害剤である5-azadCや、HDAC阻害剤であるTSA処理を施すと、MUC5ACの発現が大幅に回復してくることから、本研究では、プロモーター解析範囲を約4,000bp上流にまで広げて検討を行った。その結果、MUC5ACの発現にエピジェネティクスの影響は少ないとされてきたこれまでの常識を覆し、MUC5ACプロモーター-3,700 bp付近というかなりの上流におけるDNAメチル化や、ヒストンH3リジン9番目の修飾状況が、MUC5ACの発現制御に深く関わっていることが明らかとなった。今後は、臨床診断応用を目指して、エピジェネティックなバイオマーカーとしての有用性に関しても解析を進める必要がある。
Original Article
Yamada N, Nishida Y, Yokoyama S, Tsutsumida H, Houjou I, Kitamoto S, Goto M, Higashi M, Yonezawa S. Expression of MUC5AC, an early marker of pancreatobiliary cancer, is regulated by DNA methylation in the distal promoter region in cancer cells. J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2010 Nov;17(6):844-54. Epub 2010 Apr 14. PubMed PMID: 20734208.
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