先天性心疾患

先天性心疾患とは?

先天性心疾患とは生まれつきの心臓の形態や機能の異常を示す病気で、発生頻度としておよそ100人の出生あたり1人が生まれるといわれます。病気の種類が非常に多いのがひとつの特徴です。

先天性心疾患は非チアノーゼ性心疾患チアノーゼ性心疾患の2群に大きく分けることができます。

以下に主な疾患名を列記します。

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非チアノーゼ性疾患

@ 大動脈の異常短絡と大動脈弓部の形態異常

  • 動脈管開存症(Patent Ductus Arteriosus)
  • 大動脈縮窄症(Coarctation of Aorta)
  • 大動脈弓離断症(Interruption of Aortic Arch)
  • 大動脈中隔欠損症(Aortopulmonary Window)
  • 右肺動脈大動脈起始症(Anomalous Origin of Right Pulmonary Artery from Aorta)
  • 血管輪(Vascular Ring)

A 心臓の中隔の異常

  • 心房中隔欠損症(Atrial Septal Defect)
  • 部分肺静脈還流異常症(Partial Anomalous Pulmonary Venous Return)
  • 心室中隔欠損症(Ventricular Septal Defect)
  • 右室二腔症(Double Chamberd Right Ventricle)
  • 房室中隔欠損症(Atrioventricular Septal Defect)または心内膜床欠損症(Endocardial Cushion Defect)

B 弁膜疾患

  • 先天性大動脈狭窄(Congenital AS)
  • 先天性僧帽弁狭窄(Congenital Mitral Stenosis)
  • 肺動脈弁狭窄(Pulmonary Valvular Stenosis)

C 冠動脈異常

  • 冠動静脈瘻(Coronary Arteriovenous Fistula)
  • 左冠動脈肺動脈起始症(Bland-White-Garland syndrome)

チアノーゼ性疾患

@ 右室流出路の狭窄または閉塞

  • ファロー四徴症(Tetralogy of Fallot)
  • ファロー極型(Extreme Fallot, Pulmonary atresia with VSD)
  • 純型肺動脈閉鎖(Pure pulmonary atresia)

A 三尖弁の異常

  • エプスタイン奇形(Ebstein anomaly)

B 心室-大血管結合の異常

  • 完全大血管転位症(Complete transposition of the great arteries)
  • 両大血管右室起始症(Double outlet right ventricle)
  • 総動脈幹症(Truncus arteriosus)

C 単心室症(Univentricular heart, single ventricle)

  • 三尖弁閉鎖症(Tricuspid atresia)
  • 僧帽弁閉鎖症(Mitral atresia)
  • 右室性単心室(Single right ventricle)
  • 左室性単心室(Single left ventricle)

D 肺静脈の異常

  • 総肺静脈還流異常症(Total anomalous pulmonary venous return)
  • 先天性肺静脈閉塞(Congenital pulmonary venous obstruction)

E 体静脈の異常

心臓各部位の病変に加え、複数の疾患の合併や病変の程度まで加味すると、その数はそれこそ天文学的数字となってしまいます。極端にいえば先天性心臓病の患者さんは一人ずつ違う病気を持っているということです。

これだけ数多い病気の状態を限られたスペースで解説することは不可能です。これ以上の詳しいことは担当者からご説明をお聞きください。

鹿児島の小児心臓手術の未来

264x188鹿児島を含め九州南部ではこれまで先天性心疾患の手術が充分になされているとは言えない状態でした。それは単に手術のできる外科医がいないという理由だけでなく、診断から手術までの管理、手術後の管理、また関連各科(産科、小児科、心臓外科)の連携など、すべてを含めたシステムがなかったからです。どれか一つが欠けても治療の流れがうまくいかないのです。

しかし2010年、鹿児島大学病院 心臓血管外科に井本 浩(いもと ゆたか)教授が就任して状況は変わりました。小児心臓外科医として多くの経験と実績を持つ教授を核として、鹿児島の先天性心疾患治療のシステムがこれから少しずつ出来上がっていくところです。システムとしての成熟には時間がかかるでしょう。いずれ世界最先端のレベルに到達するという目標を掲げてこれを実現すべくメンバーが精進しています。

これまで鹿児島の心臓病のこども達は遠く他県に行って手術を受けていましたが、本人、ご家族の負担は大変なものでした。手術の予約を含め、身の回り品を抱えての入院のための移動、手術説明や面会のたびに費やされるお父さんの時間、家を遠く離れてのお母さんの付添、退院後の定期健診など、遠方であるためのハンディキャップは想像以上のものがあります。しかも手術は1回で完了するとは限らないのです。

われわれは、まずは一般的な疾患である心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、ファロー四徴症などのこども達が鹿児島で手術を受けられるようにしたいと思います。次いで新生児開心術やその他の高難度の手術へとステップアップしていくつもりです。

われわれは心臓病のこどもを持つご両親と心を一つにして、こども達の未来のために頑張りたいと思っています。

また、鹿児島における小児心臓外科のパイオニアとして働いてみたいと考える若い人がいたらどうぞ声をかけてください。われわれと一緒に頑張りましょう。