腹腔鏡下ソケイヘルニア根治術

【ソケイ(鼠径)ヘルニアはどうしておこるのでしょう】
男児の場合:赤ちゃんの睾丸(精巣)は、お母さんのお腹の中にいる時には、最初は赤ちゃんのお腹の中にあります。
この精巣は、在胎7ヶ月頃までに鼠径管というトンネルを通って陰嚢内にまで下降してきます。
この精巣の下降時に、お腹を裏打ちしている腹膜の一部がポケット状に伸びてきます(これを腹膜鞘状突起といいます)。
この突起は通常出生するまでに退縮しますが、これが開存したまま出生し、そこに腸などが入ると(以前、脱腸といわれていた理由です)、ヘルニアになります。
女児の場合:睾丸の下降がない点を除き、男児と同様です。

【ヘルニアの症状は】
一般に入浴後や、啼泣時にソケイ部の脹れ、柔らかい腫瘤として気づかれます。時には、突然不機嫌になり、ソケイ部に硬い腫瘤をみつけることもあります、後者の場合、「嵌頓(カントン)*」している場合もありますので注意が必要です。

  • 嵌頓(カントン)ヘルニア
    ヘルニアの袋の入り口で、脱出した臓器(主に小腸)が締められ、お腹の中に戻らなくなる状態です。放置すると、腸閉塞、腸管壊死を起こし、緊急手術をしなくてはなりません。
    また、カントンした臓器が、ヘルニア嚢の後壁を走行している精巣動静脈を圧迫して血流が悪くなり、後に睾丸が萎縮することもあります。症状として「痛がる」、「吐く」、「不機嫌」等が見られます。

  • 卵巣滑脱ヘルニア
    女児のへルニアにみられ、特に新生児乳児に多くみられます。コリッとした小さな腫瘤として触れますが、卵巣がヘルニアの袋の中に脱出しています。ヘルニア内容が卵巣だけであれば、用手的に無理に戻す必要はありません。

【嵌頓したときにはどうすればよいでしょうか】
鼠径部の硬くなった腫瘤をそっと押してみます。それで腫瘤が消失すれば機嫌もよくなります。
腫瘤が消失せずひどく嫌がるようであればすぐに病院に連絡してください。状況をお聞かせいただき必要があれば来院していただきます。

【治療】
手術が第一選択です。昔は、脱腸帯が用いられたこともありますが、治療効果はなく、接触による皮膚のかぶれや、脱出した腸をおさえたりすることもあり、現在は用いられていません。

【手術】
手術は、全身麻酔下で行います。皮膚切開は、患側の下腹部に2cm程度の横切開を加えます。子どものヘルニアの手術は、ヘルニア嚢を腹膜に近い部位で結紮するだけです。手術時間は30分程度で、麻酔が手術前後であわせて60分ほどかかります。

【腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術の特色と利点と欠点】
  1. 反対側も観察できるため反対側にヘルニア嚢の開存(約25〜40%)があった場合、同じ創で同時に手術することができます。そのため対側発現(20人に対し1人の発症率)を減少させることができます。
  2. 臍ヘルニアがある場合、同時に手術ができます。内ソケイヘルニア、大腿ヘルニアなどの稀な疾患を鑑別できます。
  3. 卵巣、卵管を確認しながら手術が可能で臓器損傷を予防できます。
  4. 通常の手術より高位でヘルニア嚢を結紮可能で、再発が少ない可能性が指摘されています。
  5. 臍に創ができますが、臍の傷は跡が目立ちにくいです。

【手術】
  1. 全身麻酔で手術を行います。
  2. 傷は臍下10mm程度と下腹部4mm程度、ソケイ部は針穴(約2mm)でヘルニアの袋を縛って脱腸が出ないようにする手術となります(従来の手術では片方ソケイ部に15〜20mm程度の創となります)。手術時間は片方40分程度ですが、反対側のヘルニアがあった場合、両側の手術となりますので手術時間は1時間から2時間程度となります。




【手術】
傷は20mm程度です。手術時間は1時間から1時間30分程度です。


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