2020年4月17日

医学科学生 各位

保護者の皆様

 鹿児島大学医学部医学科長

臨床実習の意義と、安全に行うための配慮

現在鹿児島県内で4名の新型コロナ感染者が確認され、臨床実習に関し不安を持っている学生・ご家族の方々もいらっしゃることと思います。鹿児島県の感染者は県外からの移動者のみで、その後、鹿児島県内での濃厚接触者への感染拡大には至らず、制御下にある状況(level 1)です。

現在、鹿児島大学医学部医学科では、臨床実習は大学病院での実習に留め、学外での実習は行っておりません。鹿児島大学病院は紹介患者の診療を基本とし、現在は、入院・外来患者に制限を設け、発熱かつ呼吸器症状を伴わない患者においても、感染制御部が作成する「日本国内の流行状況」によるlevel 2・3地域からの患者の受入を制限し、可能な限り各地域の流行状況がlevel 1となるまで、または鹿児島県に移動後14日が経過するまで、入院・受診日の調整をしております。

医療には日常生活とは異なるリスクが常に存在します。学生は臨床実習の開始前に、感染予防の実習を受け、臨床実習に於いても、常に感染症のリスクの存在を前提とした診療の遂行を学習しています。完全な防御策は、実習を行わないことですが、それでは医療者は育ちません。医療関係者が国民の尊敬をいただいているのは、リスクを伴う医療現場へ立ち向かう科学的根拠に基づいた知識と医療者としての責任感に対するものと考えます。そのために、臨床実習では、できうる限りの感染のリスク軽減に努めつつ、大学病院の医療現場で実習しております。

現時点では、鹿児島県の状況と鹿児島大学病院の診療体制から、学生が実習中に感染者と接触する可能性は極めて低く、臨床実習が行えると判断しています。その上で、患者様と触れる機会を限定し(飛沫暴露の回避、距離の確保、時間の短縮、代替診療など)、大学教職員・学生に感染者が確認された場合や、鹿児島県内での市中感染が確認された場合には、大学病院と相談の上、速やかに臨床実習中止を検討いたします。

新型コロナ感染リスクが心配で、大学病院での実習に参加が難しい学生に対しては、学生に不利が無いように代替の実習等を提案します。

医学生の前には、疾患と立ち向かう医師・看護師・その他のスタッフがいます。それを後から観る位置での臨床実習の重要性を認識していただければ幸いです。

なお、今後、県知事による緊急事態宣言の内容によっては変わる可能性もあります。