医学科長挨拶
鹿児島大学医学部
医学科長 大脇 哲洋
鹿児島大学医学部医学科は、南九州にあって、150年余りの伝統を受け継いだ医療人育成の使命を、医学部の理念及び教育目標として示し、臨床医や医学研究者、医系技官等の多様な医療人の育成を図っています。
鹿児島大学医学部医学科は時代の要請に合わせ、2009年(平成21年)に大幅なカリキュラム改定を企画するにあたり、従来の伝統を継承しながら人材育成の使命を「教育のミッション」として下記のように制定し、意欲に満ちた学生が集まってくれることを期待しています。
医学科の教育目標(教育のミッション)
基本理念に基づき、鹿児島大学医学部医学科は、以下の能力をともに有した人材を育成する。
1)人を尊重し、人と地域社会のため最善の医療を実践する優れた臨床医
2)科学的思考力を有して生涯学習し、さらに医学、医療及び社会の発展に貢献する医師及び医学研究者
全てのカリキュラム開発に先立ち、医学科の使命を議論し、教育目標(教育のミッション)を明記したことが本学の特徴です。まず目的を定め、それを実践するために一貫性のある3ポリシー(アドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシー)を制定しています。
2017年3月に日本医学教育評価機構(JACME)が世界医学教育連盟(WFME)の正式認証機関となり、2017年4月から国内の医学部・医科大学の医学教育分野別評価が開始されました。我々はJACMEによる分野別評価をいち早く受審し、医学科における教育内容はWFMEが示す評価基準に適合していると認定されました。2018年から7年間の認定を獲得し、医学教育システムの継続的改善に取組んでおります。その中で最重要とされるものは「アウトカム基盤型医学教育」の実践であり、これは急速な進展を遂げる医療領域において学生に正しい方向性を示し、成し遂げるべき能力を確実に習得させるものであります。
本学の特色である臨床医学教育においては、実際の医療現場での実習が特に重要になりますが、鹿児島大学は鹿児島県、鹿児島県医師会をはじめ多くの地域医療機関や行政関係者のご協力を得て、離島やへき地を含む鹿児島県全域で特色ある臨床実習を行っています。地域との密接な連携には、医学科卒業生の支援が不可欠であり、鶴陵会(鹿児島大学医学部医学科同窓会)の諸先輩方のサポートにより、現在の臨床医学教育が実践できています。
教職員をはじめ医学教育関係者が一丸となり、時代に即し、特色ある教育を維持・向上させ、社会環境の変化と地域のニーズを把握しながら、医学科の発展に尽くしたいと考えております。皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。
(2023年4月)