加齢黄斑変性外来

臨床研究のお知らせ

ヒト血液のOCT輝度に影響を与える因子の研究

 担当医 園田祥三 松尾由紀子 喜井裕哉 大塚寛樹

加齢黄斑変性 (AMD) は、欧米において成人の失明原因の第一位を占める疾患であり、日本でも近年増加している疾患です。脈絡膜新生血管のない萎縮型と、新生血管を伴う滲出型に分類され、積極的な治療の対象となるのは後者です。

これまで、滲出型では、新生血管が中心窩 (黄斑部の中心) にある場合は適切な治療法がありませんでしたが、最近、 AMDに対する新しい治療法が次々に開発されつつあります。その中のひとつである光線力学療法 (PDT) は、「光感受性物質をあらかじめ脈絡膜新生血管に取り込ませた上で、その光感受性物質に特定の感受性の高い波長のレーザー光を照射し、光感受性物質を活性化させ血管を閉塞させる」治療法で、日本では2004年に治療の実施が可能となりました。鹿児島大学病院でも同年この治療法を導入し、成果をあげています。また、 2006年には、脈絡膜新生血管の検出に重要な検査である2種類の蛍光眼底造影を同時に行う Heidelberg Retina Angiograph (HRA) 2 を導入し、診断率の向上と検査時間の短縮が得られています。

近年では滲出型加齢黄班変性の病態形成に眼内の血管内皮増殖因子(VEGF)が少なからず関与していることが明らかになり、硝子体中にVEGFを抑える抗体を注射する治療により良好な成績が報告されています。鹿児島大学病院と関連病院でもこの治療が行えるようになり、効果をあげています。また治療を行うかどうかを判断するための検査では、高性能な光干渉断層計(OCT)を導入したことにより、非侵襲的にかつ詳細な観察が可能になっています(下図)。

加齢黄斑変性症のOCT画像