理学療法学 教員 大渡昭彦

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近年、膨張が続く介護保険財政を抑制するために、介護予防政策の重要性はますます高まっています。鹿児島市では介護予防及び地域づくりを目的に、平成12年度から「お達者クラブ」を中心に活動しています。また、平成17年度に「らくらく体操」を開発し、その普及啓発に取り組んで市民の介護予防に寄与してきました。この体操はおはら節、鹿児島市民歌の曲に合わせて、楽しみながら行うことができるのですが、テンポがやや早い内容でした。介護予防に資する住民主体の通いの場では、参加者の多様なニーズに応えるレベルの体操等を実施することをコンセプトにしています。そこで、ゆっくりした低負荷の体操を鹿児島大学と鹿児島市が共同開発したので、その取り組みをご紹介します。

今回開発した「よかよか体操」はゆっくりしたテンポで、椅子座位を基本とした低負荷にして「準備体操」「肩こり予防に効果的な運動」「膝痛予防に効果的な運動」「表情を豊かにする運動」「腰痛予防に効果的な運動」「体力向上に効果的な運動」「整理体操」といったように短時間で7つにシリーズ化しているのが特徴です。体操は解説のナレーションにより、鍛える部位、目的、効果などを明確にしています。また、断片的に使用することも可能で、体操の効果を明確にして、参加者の状態に合わせた選択の幅を広げています。

「よかよか体操」の有効性を、鹿児島市在住の方々を対象に検証しました。その結果、身体機能の変化として、Timed Up and Go Testと2ステップテストで有意な改善がみられました。他の結果と総合して考察すると、筋力が向上して何かができるようになったのではなく、バランス能力や可動性といった体の使い方に変化が起こり、動作の効率が改善されたことが予想されました。

現在、よかよか体操を行うことを条件に「よかよか元気クラブ」を立ち上げて、普及活動を行っています。このように、鹿児島市全体で介護予防事業に取り組んでおり、鹿児島大学では研究の一環として協力させていただいています。

 

「鹿児島よかよか体操」の詳細は以下のホームページで確認できます。

https://www.city.kagoshima.lg.jp/kenkofukushi/hokenjo/toubuhoken/yokayoka.html

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