環黄海青少年派遣事業(台北コース)に参加して

外国の施設訪問画像

 鹿児島大学大学院保健学研究科 博士後期課程3年 西 智洋

私は、環黄海青少年派遣事業(事業主体:鹿児島県)へ保健学研究科学生の立場で参加し、平成27年12月3日から6日まで台北を訪問しました。この事業は次代の鹿児島の産業・経済界をリードする国際的人材を育成するため、環黄海経済圏の中心地であるソウル、上海、台北に本県青少年を派遣し、企業視察、現地企業人との交流等を通じた「気づき」「行動」を体得させることを主な目的として実施されています。今回の台北コースは社会人23名、学生10名の計33名が参加し、その所属は多岐に渡っていたため、異業種の方と交流する絶好の機会となりました。

研修は6班に分けて行われ、私の班では3日目に雙連安養中心を訪問しました。それは高齢化の進んだ外国(台湾)と日本の実情を実感し比較するのが一つの目的でした。この中心(センター)は台北市の北に位置し海辺に面しています。センターは教会が運営する老人ホームに類似した施設で、他に大学や医科大学など広く運営しています。このセンターは軽度から重度の要介護者を受け入れており、入居サービスだけでなく通所や訪問サービスも提供されていました。訪問時点で台湾では日本の介護保険のような公的支援制度は整備されていませんでしたが、施設の設備や運営方法等は日本と遜色がなかったことに驚かされました。事前に日本やヨーロッパなどの施設を見学し、設計の段階から優れた考えや設備を積極的に取り入れていったそうです。さらに、継続的な職員研修の実施、大学や企業などとの共同研究など常に改善を心がけているとの説明もありました。公的な支援がないため入居者の負担は日本より高額になってしまいますが、多くの入居待機者を抱えており、台湾でも高齢化が社会問題になりつつあると感じました。

研修では現地の方との交流会も開催され、様々な業種の方と意見を交わす機会を得ました。その参加者の多くは日本語に堪能で、不十分であっても英語と中国語でコミュニケーションを取ろうと決めていた私の意欲は開始数秒で打ち砕かれました。今回交流した方とは連絡先を交換しましたので、次回お会いするときには中国語でリベンジしたいです。また、多くの参加者が日本のワーキングホリデービザを申請し、日本で仕事や勉強に挑戦する計画を持っていました。ワーキングホリデーは人生で1回限りの権利だし、上手くいかなかったら台湾へ戻ればいいと笑顔で言われていたのが印象的でした。

今回の研修を通じて台湾人の積極性を肌で感じるとともに、常に内向きな自分の姿勢に気付かされました。そんな殻を打ち破るべく、これまで4回国際学会でポスター発表してきましたが、30歳を過ぎた私には残念ながらワーキングホリデーの参加資格がありません。ですから今後は海外で開催される学会への参加や学術雑誌への投稿などに、一層積極的に挑戦していきたいと考えています。

 

外国の施設訪問画像02
外国の施設訪問画像03
外国の施設訪問画像04
外国の施設訪問画像05

 

外国の施設訪問画像06
外国の施設訪問画像07
外国の施設訪問画像08
外国の施設訪問画像09